もえぎ設計 日常ブログ

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タイトル:  耐震診断

 耐震診断を依頼されてまず話すのは、今まで20件ほど診断をしてきたけれども倒壊しない1という数値をクリアーした物件はありませんでした。ですのでお宅の建物が診断結果でそうなったとしてもさほど驚くことではありません。まず必ずそうなります。
昭和56年に耐震基準が変わり法制度が変わります。それ以前の住宅はまず今の基準に見合ったものではありません。なので耐震診断をする対象になるのです。
最初に耐震について説明するのが、単に重さを支えるという意味でしっかりしている。というのと、地震の時に耐える構造になっている。ということの違いです。太い柱・太い梁というのは一般の家では耐震に効果があるものではありません。単純には横に揺れたときに支えることのできる壁がたくさんあるかどうか、ということです。一般論として南に庭があると、そこに向かっておおきな窓がたくさんあるので、南面が弱くなる傾向にあります。町家のように間口が狭く奥に長い建物だと、間口向きにはほとんど壁がありません。壁がある方向とない方向とがあきらかに違う場合に弱い向きが歴然とあります。

 もうひとつは建物の重さが重い方が耐震的には不利になります。理屈としては重たいものが横に揺れるのを、壁で支えるということです。瓦屋根はだからダメなんだというほど単純ではありません。確かに地震の揺れは軽い方が良いですが、長持ちする家というのは雨漏りしないようにメンテナンスがしやすいことも大切です。瓦はメンテナンスがしやすいので、長持ちしやすいと言えます。
 などと前ふりをしながら診断の為の調査をします。間取りを描き壁の種類を調べて、床下を覗き、屋根裏を見せて頂きます。痛みはないか、柱・梁に金物は着いているか、などを確認します。一通り調査が終わると、おおよその見当はつきます。この調査を診断の計算式にあてはめて数値化するのですが、数値化する前にざっくりと判断ができるので、ある程度この時点で説明をします。

 この時点で何を見るかというと、2階がどこに乗っているかというのと、その乗っている部分の1階に壁や柱がどのように並んでいるかということです。2階は屋根の重さを支えます。1階は屋根と2階の重さの両方を支えるので、負担が大きいのです。実際上の耐震強度はそういったことが重要になってきますが、診断で出る数値はそこが数値になりにくいので、難しいところです。なので総合所見という欄にそのあたりの事を文章で書きます。耐震診断は数値だけでは言いあらわせない難しさがあります。

 ところでどうすればいいですか?と聞かれます。次のステップの耐震改修はそう単純にはいきません。壁を新しく造るというのはなかなかに大変です。場所によってはキッチンやお風呂を移動しないと壁が作れない部分があったり、天井や床をめくらないと出来なかったりと、工事は大掛かりになりやすのです。ちょうどきれいに改装したかった時なので・・・と言って頂けると楽なのですが、耐震だけの為に工事をするのは費用ばかりかかります。リフォームしたいなと思った時が耐震改修のやり時ですね。

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