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タイトル:  自分の住む街で楽しみたい

 私が住んでいる街には映画館がありません。
映画館で映画を観るのが好きな私にとって、自転車に乗って行ける距離に映画館がある事が、結構重要な事だったのだと最近わかってきました。


 現在住んでいる街は大阪市近郊の都市で、夫と5歳の子どもと3人で暮らしています。出産前に京都を離れて引っ越してきた街です。
 出産のために設計事務所を退職し、子供が生まれてからは自営で家で仕事をし、子育てもして、その新しい街で全てが完結してしまう生活をしていました。核家族であることや、初めての子育てで自由な時間がない(長く独身生活をしていたので特にそう思うのかも)、一人で仕事をする事の孤独感などの要因により、私が何者でもないような感覚に陥ったりして、今までに感じたことのないストレスを感じていました。


 そんな時に湧き出てきたのが、映画館で映画が観たい、という気持ちです。完全に逃避ですが・・・・。ただただ、映画の中の世界に浸って、映画館の暗闇の中で映画を観たい。日常とは違う空間で映像の中の世界を味わいたい、ということでした。


 車に乗って電車に乗ってでも行けばよいのでしょうが、乳児をかかえた私にとって、状況的にも精神的にも行動が制限される事が多く、なかなか気軽に映画館に行けない。なるべく負担が軽くて自身の楽しみの時間を持ちたいけどそのような状況が作れない。夫や祖父母にちょっと預けて気軽に好きな映画を観る。文章にしたらとても簡単そうな事なのに、その時は本当に難しいかったのです。
 自分の住む街に映画館があって、乳幼児がいるお母さんでもちょっと子どもを預けて映画の時間を楽しめる、おばあちゃんに半日預けるのは難しいけど2時間ならみてもらえるし、なんなら乳児連れて行っても良い映画館とかないのだろうか。そんな事を考えるのでした。

 子供が幼児になってきて、今度は子供とアニメ映画を観にいく機会がでてきました。宮崎駿監督の映画でも観れれば良いのですがキャラクター物の映画です。子どもと観ながら、本当はもっと芸術的なもに私は触れたいのに、と思っていました。

 ある時、里帰りで実家の近所を歩いていて、子供の頃からあった映画館の姿が代わっていることに気が付きました。さびれた寂しい雰囲気の映画館だったはずが、何やらおしゃれなカフェ風の外観になっています。上映している内容も面白そうな映画をしている様子。何が起こってるのか?とカフェになっているロビーに入って様子を伺いました。

 その映画館は兵庫県の豊岡市にある「豊岡劇場」(略して豊劇)という映画館です。昭和2年に芝居小屋として始まり長く映画館として営業していました。豊岡で唯一残っていた映画館でしたが利用客の減少やオーナーの諸事情により2012年に閉館。しかし、その後2014年にこのまま映画館がなくなっていいのかという事を考えた有志の人々によって「豊劇新生プロジェクト」が発足し、新しい豊劇として復活しました。映画を上映するだけの映画館ではなく、映画館を街の中の文化や地域コミュニティー交流の場所としてとらえようというものです。

受付ロビーをカフェにして、映画を語る会を開いてみたり、ドキュメンタリー映画を上映して監督の舞台挨拶があったり、ワークショップを開いてみたりと、ただ映画を上映するだけの映画館とは違う形で営業されています。

豊劇が目指すものとして、こんな目標が掲げられています。
・周辺地域の文化の担い手を後押しする
・家や職場以外の第3の居場所づくり
・この地域で暮らすことを楽しむ場所をつくる
・地域外、海外との交流を促進する
・クリエイター、作家の育成の機会をつくる

私が行きたい映画館は、こんな映画館です。私の今住んている街にも、こんな場所ができないかな、映画もみれて人と交流もできて、発表の場所としても使える。小さい子供と一緒に映画が観れたり、子供も大人も楽しめて集まれるような芸術的で文化的な場所。そんな場所が近くに欲しい、住んでいる街にあればいいのに、とますます強く思ったのでした。
自分の住んでいる街を楽しむために私は何ができるのかな、と考える日々です。

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