ホーム > もえぎコラム > "枘(ホゾ)と枘穴(ホゾアナ)"

コラム:  枘(ホゾ)と枘穴(ホゾアナ)

木の角材が2本あったとして、この材をT字型にくっつけるとしたらどうしますか。建築では二本の材を直角(又は斜め)にくっつけるやり方を仕口と呼び、その種類ごとに名前があります。建物で使われる代表的な仕口の一つが「枘差し」です。材の中央に四角い穴をあけます。これが枘穴です。もう一本の材の端をちょうど枘穴に差し込める同じ大きさに加工します。こうしてできた材の端の突起が枘です。枘を枘穴に差し込む仕口が「枘差し」というわけです。
 実は「同じ大きさ」で接合できるのが木材の特長です。例えば金属でやろうとすると枘より枘穴を少し大きくしておかないと差し込めません。同じ大きさに加工すると必然的に生まれてしまう誤差によってどこかが引っ掛かってしまうからです。木材は柔らかいので少し力を加えると変形し誤差を飲み込んでくれます。枘の先端の角を少しだけ斜めにとると接合はよりスムーズになります。それでも差し込めない場合は枘の横腹を金槌で叩いてへこませ差し込みます。木材は一度へこんでも元にもどる性質があるので、よりしっかりくっつきます。この技を「木殺し(キゴロシ)」と言います。
 「枘差し」には「短枘差し(タンホゾザシ)」と「長枘差し(ナガホゾザシ)」があります。土台と柱の例だと短枘とは長さが6cmほど、長枘だと多くの場合12cm少なくとも9cm以上です。
hozozu1.jpg(図1参照)
木は乾燥すると縮む性質がありますが、枘の巾が縮むと枘の長さの違いで形を保つ働きに大きな差が生まれます。
hozozu2.jpg(図2参照)

 縮むといっても本物の木は一様に縮むわけではありません。一様でない収縮はゆがみを生みます。一様な縮みによって接合部はゆるくなりますが、ゆがむ事で枘は枘穴を強く押し逆に固くなります。このゆがみが短枘では小さいので乾燥収縮によってゆるくなる一方ですが、長枘ではゆがみによって逆に固くなることもあります。その上、長枘差しは込み栓打ち(コミセンウチ)という技でより強固にできます。
 最近は「短枘差し」のような簡単な仕口を機械で自動的に刻む工法が一般的になってしまいました。柔らかさや乾燥収縮、ゆがみなどやっかいと思われる木材の性質を逆にうまく利用した技は弱まっています。木造住宅の短命化はそのことと無縁ではないように思います。
 仕口など接合部に気を配りながら、木の組み方の全体を考えて計画していくのは木造設計の醍醐味です。知れば知るほど、知りたいことが増えていきます。