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コラム:  改めてバリアフリーを考える

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進...通称バリアフリー法が制定されたのが平成18年6月ですから、そろそろ10年になるわけです。

 高齢になっても住み続けられる住まいづくりを考えるなかで、室内に段差を設けない、敷居を設けずに室内の床をフラットにすること。なるべくドアにしないで引戸を多用し、車椅子生活になっても移動可能なようにできるだけ開口の幅を広く取る、といったことはあたり前になってきました。最近では、アルミサッシの下枠もフラットなものがあるので、外部のデッキにもそのまま出られ、室内の床から外の床までが一体化して広々とした利用ができるようになりました。しかし、室内が外とフラットになるということは、雨を呼び込まない工夫が必要だったり、逆に庭との高低差が大きくなり庭に下りるのが大変になって転落防止の処置が必要になったり、総合的な検討も必要です。

 福祉施設ではこの法律の整備は期待されるべきものですが、当初、保育園などでは点字タイルがかえってスムーズな歩行を妨げるとか、障害者用のトイレが結局使われずに物置き化することもありました。子どもの施設にとっては管理が難しいエレベーターの設置免除を受けるために理由書を提出したり、計画の段階で役所と協議することは今でも結構あります。最近では、*オストメイト対応トイレの設置が求められたり、小規模な保育園でも玄関内にスロープが必要だったりしますし、室内が外とフラットになることで、砂や埃が床に上がりやすいという不衛生な面と雨の問題には相変わらず苦慮しています。
 さて先日、足を骨折して松葉杖で過ごしました。松葉杖は全体重を腕で支える為、結構操作も難しくパワーが必要です。時には車椅子のお世話にもなり、軽量化して小回りが効くことに感動したり、公共トイレに洋便器があるとホッとしたり、いろんな事に気付かされた1ヶ月半でした。怪我をする前まではあまり意識していませんでしたが、未だにエレベーターが設置されていない小さな駅では悲惨な思いをしました。改札までの距離が遠すぎたり、商業施設を通過しないと利用できない不便さを味わったのは意外にも大規模な駅でした。白杖を突いた人と電車待ちの人の列がクロスしたり、松葉杖や車椅子・ベビーカーが敷設した点字タイルにまごまごしたり...様々な身体的弱者すべてに優しいバリアフリーを満足させることは至難の技です。

 それでも、設置するからには便利で使いやすいことを追求しなければその価値が発揮されないことを念頭に、手摺り1本の取付けから丁寧に検討することの大切さを再確認しました。

*オストメイト:消化管や尿管の損傷の為、腹部に人工肛門や人工膀胱を装着した人のこと。排泄物を溜めたパウチを洗い流す機能が求められる。

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